心を揺るがすタイのコメディードラマが、次世代の輸出ポップカルチャーになり始めています あなたはもしかするとタイ映画のファンで、これについては知らないかもしれせん。 「I Fine… Thank You… Love You」(2014)や「Hello Stranger」(2010)のようなコメディードラマには、ソーシャルメディアを介して言葉の壁など無いかのように世界中の人々に急速に広がるという点で、ストーリー性の高いタイのテレビCMと共通する性質を持ちます。それらは面白くも心情的で、飽きや操作的な雰囲気はありません。 「Unsung Hero(縁の下の力持ち)」というタイトルのThai Life Insurance(タイ生命保険)のCMは、ある若い男性が一見馬鹿げて見える気前の良い行動を取り、かけがえのないものを得る様子を映し、You Tubeで3千万回再生を達成しました。 ハフィントンポストなどの国際的なウェブサイト上の膨大な数の記事が、この動画がいかに感動的かについて書いています。この3分の動画が現れて約3年が経ちますが、今でもFacebookで広く共有されています。 タイのコマーシャルが文化を超えて翻訳されていることには、明らかに何らかの理由があります。 地方でも人気が高まっていることが証明しているように、このような全世界へのアピール姿勢はタイの長編映画にも広がっています。 今週の映画館では、シンガポールの映画ファンは2本のタイコメディードラマを楽しむことができます。タイのプーミポン・アドゥンヤデート国王の晩年の作曲に影響を受けたオムニバス映画「A Gift」と、明日公開の韓国映画「Miss Granny」(2014)のリメイクである「Suddenly 20」です。 地方の映画館は、これらの映画が「I Fine… Thank You… Love You」や「Hello Stranger」などの過去のタイドラマコメディーのようにヒットしてくれることを期待していることでしょう。 シンガポールでは、やる気のない生徒に力を貸す英語教師を描いた「I Fine…」が743,000ドル以上、ソウルで出会う2人のタイ人旅行者を描いた「Hello Stranger」が623,000ドル以上の総収益を上げました。 これらは何百万ドルの収益をあげる大ヒットハリウッド作品を比べると大したことがないように思えるかもしれませんが、200,000ドル突破すら難しいニッチな外国語タイトルの中ではこの数字をたたき出したことは大きな強みです。 もちろん、タイ映画製作は、ハリウッドやインド映画のリメイクである「Shutter」(2004)や「Alone」(2007)に代表されるホラー映画のヒット作品を生み出すことでも有名です。 しかし、タイ最高のテレビCMでも使われている「ストーリーを感動的に伝える」テクニック採用したタイのコメディードラマが、タイから輸出できる次世代のポップカルチャーの地位を急速に確立し始めています。 <成功の要因> 昨年の「Touching Mothers」(2006)など、タイの最も成功したテレビスポットCMを手掛けた広告代理店BBDOバンコクの最高経営責任者ソムキアット・ラプタヌンチャイウォンさんは、タイのストーリーは「一つは感情に訴えること、もう一つは最もリアリティを表現できる方法を取ること」であると指摘します。 映画ファンのセリーヌ・チュアさん(29)も同意しています。彼女は「Bangkok Traffic Love Story」(2009)や「May Who?」(2015)などのタイコメディードラマを、「とても深く感じる」と思ったため、これらを楽しんでいます。 旅行案内業者であるセリーヌさんは言います。「私はどんなタイプの恋愛コメディーも楽しんでいますが、タイのラブコメディーは特に甘いです。」 「外国のコメディアンからはプライドが高くてイライラするような印象を受けることがありますが、タイの俳優はいつも誠実そうで、とても好感が持てます。」 このように言われる要因にはおそらく、タイのスターがいつも綺麗な身なりをしていることもあります。タイの主演俳優はしばしばユーラシア人や、モデルの経歴のある人です。 タイとドイツのハーフでモデルから俳優に転身したマリオ・マウラー(28)のファンであるチュアさん言います。「多くの人は韓国スターの大ファンですが、私は彼らは整形手術のせいで皆似すぎていると思います。」 多くの業界関係者は、タイコメディードラマの成功は、タイ人が持つユーモアセンスによるという事実に行きつくと信じている。 「SuckSeed」(2011)やオムニバス映画「A Gift」(2016)のうち1話の監督を務めたベテランタイ映画製作者のジラ・マィクンは、ザ・ストレート・タイムズにこう話しました。「ユーモアセンスの血が私たちには流れているのです。私たちは普段の生活でも冗談を言いますし、馬鹿げた状況にも笑いを見出すことができます。」 ニー・アン・ポリテクニック大学の映画・音響・動画コース長のレスリー・タンさんはこう付け加えました。「タイのユーモアセンスは、一番暗いシチュエーションにも軽率さと喜劇を見せるほどです。外国の観客は、これに皮肉からのリフレッシュを見出し、アメリカ映画でも受け入れられている言語ベースのユーモアを連想することができます。」 「『The Iron Ladies』(2000)や『Pee Mak』(2013)などの映画も、様々なシチュエーションで観客にタイ人の笑いの能力を披露しています。」「The Iron […]
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刑務所ムエタイを見て
今年のカンヌ国際映画祭のメインスクリーンで、タイが大きく取り上げられました。映画 ”A Prayer Before Dawn”(直訳:夜明け前の祈り)はタイ映画ではありませんが、このイギリス−フランスの作品はタイが舞台となっています。 >映画の作品紹介ページです。 http://www.imdb.com/title/tt4080956/ 正確には収容者が狭い共同部屋に詰め込まれ、生き延びるために戦う、カビ臭く、暴力的なタイの刑務所が舞台です。ジャン=ステファン・ソヴェール監督のこの映画は、ヤーバー(タイの麻薬)販売の罪でクロンプレム刑務所に服役した経験があるウィリアム・ムーア氏の本を基に、ムーア(役:ジョー・コール(英))が刑務所内のムエタイボクシングプログラムを通して釈放されるまでの、生き地獄での過酷な生活の模様を描いた作品です。 報道機関からの肯定的な観衆の中、カンヌでの公式上映は温かく受け入れられた。3人のタイ人俳優—ビタヤ・パンスリンガム(監視員役)、ポンチャノック・マクラン(女装癖のある収容者役)、パニャ・イムンファイ(シェフの収容者役)がレッドカーペットを歩いた。 私たちはカンヌでのジャン=ステファン・ソヴェール監督(仏)にキャッチアップした。 —どのようにプロジェクトが開始したのですか。 イギリスのプロデューサーが、ボクシング、中毒、刑務所をテーマにしたタイの実話に基づいた脚本について、連絡をくれました。私はそういったものが好きなんです。1994年に、映画製作チームと一緒に休暇中に2か月間タイを旅しました。私はタイで撮影することをずっと夢見ていました。ですから、脚本の初稿を読み、それからウィリアム・ムーアの本も読みました。映画監督として、私は実話にドキュメンタリーとフィクションのスタイルを融合させたいと思っていまして、それが叶ったのがこの作品です。 —既に沢山のボクシング映画と刑務所映画が世に出ていますよね。どのように ”A Prayer Before Dawn” の構想を練ったのですか。 私は刑務所映画やボクシング映画を単にもう1つ増やすことはしたくありませんでした。刑務所でのボクシング戦を出来る限り正確に、写実的にフィルムに収めるため、私は写実的な映画をやることに関心を持っていました。前科者と、プロでない俳優と一緒に作ることで、それが可能になりました。タイの制作サービスチームに連絡した時、彼らは適任の役者を起用して、スタジオに刑務所を建てても良いと言ってくれました。そして、私はこの映画はとにかく写実的に作るに尽きると伝えました。収容者たちの人生について話し、彼らに再度チャンスを与えるために、私は彼らの経験を世間に共有したいのです。 —この映画の中ではタイの良いイメージが描かれていませんが、同時にリアリティを感じます。どのようにしてこの話の繊細なテーマに切り込んでいったのですか。 フランス人から見ると、タイのイメージはその景色、ビーチ、文化や笑顔など、平凡な体験に基づくものです。しかし、笑顔の裏側こそが本当の人間です。タイ人はとても誠実です。しかし同時に、リアルなタイの文化に入り込むことは難しいです。この映画をやるにあたって私が考えるのは、人は皆自国や自国の人々を尊敬する責任があるということです。たとえ刑務所映画であろうとこれを丁寧且つ誠実な方法で行うただ一つの方法は、タイで時間を過ごし、タイの人々を理解し、彼らにこの話を伝えていってもらうことです。 —監督は多くの本当の受刑者を映画に起用されていますね。キャスティングはどうでしたか。 私たちはキャスティングに約1年をかけましたし、私は毎週前科者に会いました。私は最初に、刑務所で過ごした経験のある有名なボクサーのチャランプロン・サワサック、またの名をMに会いました。彼は数人の友人に私を紹介してくれました。私は彼のフェイスブックの友達を探し…全員前科者ですが…、刑務所にいた他の男たちを起用しました。私は彼らの生活について情報を得るよう努力し、それから私たちは全ての固定観念を避け、脚本を書き直しました。 —撮影許可を取る上で苦労したことはありましたか。 慎重に扱うべきテーマだとは分かっていましたが、初めは実感していませんでした。私たちはタイ映画事務所にどのような映画を作りたいかを説明しました。私は、負の側面ばかりを描いたり、ハリウッド映画のようにさもここが世界最悪の刑務所であるかのように見せたりしたいわけではなく、人情や、タイボクシングの文化を映したいと言いました。単に悪いイメージだけを投影したければ、私はタイには来ません。ベトナムやフィリピンに行きます。しかしそれは私の意図とは違います、と。すると納得してもらえました。 —タイの多くの刑務所について調べたのですか。 ナコーンパトムに新しい刑務所が出来た後に、同県の古い刑務所で撮影しましたよ。更生部門の協力で、タイの別の刑務所にも行きました。私たちはボクシングプログラムを導入している刑務所をいくつか訪れましたが、上手く組織化されていました。映画に実際の監視員を使ったほどです。 本では、ムーアはイスラムに改宗します。映画では、彼は仏教を信仰します。 初稿の脚本にはこのシーンがありました。ところが面白いのは、刑務所で社会性を育むことなのです。刑務所にはボクシングチームがあり、イスラム教徒や仏教徒など様々な囚人がいます。私にとっては、ビリー(ムーア)が仏教を信仰する方が面白いと思えたのです。 私たちは、ビリーが平和を見つけるまでの、ほとんど動物のような無秩序、激怒の状態を生きてゆく様子を描写しました。そして彼を助け、愛を与えたのはイギリスの人でもなく、彼の両親でもなく、刑務所にいたタイの人たちです。この映画は、刑務所が最悪の場所ではなく、彼が彼自身と自由を見つけることが出来た場所であることを見せてくれます。